「玉掛け作業主任者」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、実は労働安全衛生法上「玉掛け作業主任者」という資格・職務区分は存在しません。
本記事では、「玉掛け作業主任者」という言葉の正しい意味と、玉掛け作業の管理・監督に関連する実際の資格・職務区分について解説します。
「玉掛け作業主任者」は正式な資格ではない
労働安全衛生法において「作業主任者」の選任が義務付けられる作業は法令で定められており、玉掛け作業はその対象には含まれていません。
つまり、「玉掛け作業主任者」という公的な国家資格・職務は存在せず、玉掛け作業の資格としては「玉掛け技能講習」または「玉掛け特別教育」が正式な資格です。
現場や社内で「玉掛け作業主任者」という呼称を使っている場合は、社内制度・自主的な安全管理体制の中での役割を指していることがほとんどです。
玉掛け作業に関連する正式な資格・職務
①玉掛け技能講習修了者
つり上げ荷重1トン以上のクレーン等を使用した玉掛け作業を行うために必要な資格です。
学科・実技講習を受けて修了試験に合格することで、「玉掛け技能講習修了証」が交付されます。
現場で玉掛け作業を直接行うすべての作業者が取得すべき基本資格です。
②クレーン・デリック運転士(作業主任者との関係)
クレーン操作に関しては「クレーン・デリック運転士」免許や「移動式クレーン運転士」免許が必要ですが、これはクレーン操作者に求められる資格であり、玉掛け作業者の資格とは別物です。
③足場の組立て等作業主任者との違い
「作業主任者」制度が適用される代表的な作業には「足場の組立て等」「有機溶剤作業」「酸素欠乏危険作業」などがあり、これらは作業主任者の選任が法律で義務付けられています。
玉掛け作業はこれらとは異なり、作業主任者の選任義務はありません。
玉掛け作業の安全管理はどう行う?
玉掛け作業主任者という公的な職制はありませんが、玉掛け作業の安全管理はきわめて重要です。
実際の現場では以下のような管理体制をとることが推奨されます。
- 玉掛け作業を行う作業者全員が「玉掛け技能講習」を修了していること
- 作業前に吊り具の点検を実施し、記録を残すこと
- クレーンオペレーターと玉掛け作業者間の合図を事前に取り決めること
- 吊り荷の重量・重心を事前に確認し、適切な吊り具を選定すること
- 危険区域への立入禁止措置を徹底すること
- 強風・悪天候時は作業を中止すること
社内で「玉掛け作業主任者」や「玉掛け作業リーダー」などの役割を設けて作業の指揮・監督を担当させることは、自主的な安全管理活動として有効です。
玉掛け作業に関連する掲示物
玉掛け作業が行われる工事現場では、吊り荷の下への立入禁止・ワイヤーロープ点検色の表示など、安全に関する掲示物の設置が重要です。
当サイトでは、工事現場向けの安全看板テンプレートを無料でダウンロードできます。
玉掛けワイヤーロープの点検色一覧については玉掛けワイヤーロープ点検色の解説をご覧ください。
まとめ
「玉掛け作業主任者」は法令上の正式な資格・職制ではなく、玉掛け作業を行うために必要な公的資格は「玉掛け技能講習」または「玉掛け特別教育」です。
玉掛け作業の安全管理は、作業者全員の資格取得と日々の吊り具点検・作業手順の遵守によって実現されます。
玉掛け技能講習の取得方法については玉掛け資格の取り方・費用をご覧ください。

