杭ナビとは、測量機器メーカーのトプコン社が開発した、スマートフォンやタブレットで利用できる位置出し支援アプリです。
従来の位置出し作業は、トータルステーション(TS)や測量機器を用いて2人以上で行うのが一般的でした。
しかし杭ナビを使えば、スマホ1台で簡単に位置を確認しながら1人で杭打ち作業を進めることができます。
杭ナビの基本的な使い方【ステップ別解説】
ステップ1:アプリのインストールと初期設定
まずはApp StoreまたはGoogle Playから「杭ナビ」アプリをダウンロードしてインストールします。
インストール後、アプリを起動して「新規プロジェクト」を作成します。
プロジェクト名・現場名・日付などを入力し、使用する座標系(平面直角座標系)を設定してください。
ステップ2:基準点(既知点)の登録
位置出しを行うには、まず現場内に設置されている基準点(既知点)の座標を登録する必要があります。
基準点の座標(X座標・Y座標)は、測量図面や設計図から取得します。
アプリの「点管理」メニューから「基準点を追加」を選択し、点名と座標値を入力して登録します。
最低2点以上の基準点を登録することで、精度の高い位置出しが可能になります。
ステップ3:設計点(杭打ち予定箇所)の登録
次に、杭を打ちたい設計点の座標を登録します。
設計図面から各点のX座標・Y座標を読み取り、「設計点を追加」から入力します。
CSVファイルで座標データを一括インポートする機能も備えているため、点数が多い現場では特に便利です。
ステップ4:GNSS(GPS)接続設定
杭ナビはGNSS(GPS)受信機と連携して使用します。
対応するGNSS受信機をBluetoothでスマートフォンと接続し、アプリの「接続設定」から機器を選択します。
トプコン社製の「Hiper HR」や「B110」などが代表的な対応機器です。
接続が完了すると、現在地がリアルタイムで地図上に表示されるようになります。
ステップ5:後視設定(現場座標の合わせ込み)
後視設定とは、登録した基準点と実際の現場座標を一致させる作業です。
登録した基準点の上にGNSS受信機を設置した状態で、アプリから「後視設定」を実行します。
この操作により、設計座標系と実際のGPS座標系が補正・統合され、正確な位置出しが可能になります。
2点以上で後視設定を行うと、より精度が向上します。
ステップ6:位置出し(ナビゲーション)の実行
後視設定が完了したら、いよいよ位置出しのナビゲーションを開始します。
「ナビゲーション」メニューから目標とする設計点を選択すると、現在地から目標点までの方向と距離がリアルタイムで画面に表示されます。
画面の矢印に従いながら移動し、残距離が「0」になった箇所が杭打ち位置です。
誤差が数センチ以内に収まったことを確認してから杭を打ちましょう。
杭ナビ使い方のポイントと注意事項
精度を高めるためのコツ
杭ナビの精度は、使用するGNSS受信機の性能と電波環境に大きく左右されます。
精度を高めるためには、以下の点に注意してください。
- 周囲に高い建物や樹木が少ない開けた場所で使用する
- 衛星の捕捉数が多い時間帯・天候のよい日に作業する
- 後視点は現場内でなるべく離れた2点以上を使用する
- RTK(リアルタイムキネマティック)対応機器を使用することで誤差を数cm以内に抑えられる
よくあるトラブルと対処法
杭ナビ使い方でよくある問題とその対処法を紹介します。
【GNSS受信機が接続できない場合】Bluetoothの設定を確認し、受信機の電源を入れ直してから再接続を試みてください。
【現在地がずれる場合】後視設定が正しく行われているか確認し、再度後視設定を実施してください。
【衛星をうまく捕捉できない場合】開けた場所に移動するか、しばらく待機してから再度測定を試みてください。
杭ナビのメリット・デメリット
メリット
- 1人で位置出し作業が完結できるため、人件費の削減につながる
- スマートフォン・タブレットで操作できるため、専門的な測量知識がなくても扱いやすい
- 設計データをCSVで取り込めるため、多数の設計点にも対応できる
- リアルタイムで残距離・方向が表示されるため、直感的に作業できる
デメリット
- 高精度のRTK-GNSS受信機は導入コストが高い
- 建物密集地や樹木が多い環境では衛星捕捉が難しく精度が落ちる場合がある
- 電波環境に依存するため、山間部や地下では使用が難しい場面もある
杭ナビ使い方まとめ
杭ナビは、スマートフォン1台で1人による位置出し作業を実現できる、現場監督・施工管理者にとって非常に便利なツールです。
基本的な流れは「プロジェクト作成→基準点・設計点の登録→GNSS接続→後視設定→ナビゲーション実行」です。
最初は慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、一度マスターすれば大幅な工数削減が期待できます。
ぜひ本記事の手順を参考に、現場での杭ナビ活用を進めてみてください。


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