なぜ今、多言語安全標識が必要なのか
建設業で働く外国人労働者は年々増加しており、人手不足が深刻な現場ほどその存在が欠かせなくなっています。
厚生労働省の調査によると、建設業で働く外国人労働者は約18万人にのぼり、前年比で22.7%増加しました。
国籍別ではベトナム人が最も多く、約7万人が建設現場で働いています。
また、特定技能の在留資格を持つ外国人のうち、建設分野で働く人は2025年末時点で5万人を超えました。
これはわずか半年で約7,000人増加した計算で、今後も増加傾向が続くとみられています。
言葉の壁がある現場では、日本語のみの安全標識では危険情報が正しく伝わらず、労働災害のリスクが高まります。
そのため、多言語対応の安全標識を整備することは、外国人労働者を受け入れる現場にとって急務となっています。
現場で優先すべき対応言語
すべての言語に対応することは現実的ではないため、現場で働く外国人労働者の国籍構成に合わせて優先順位をつけることが重要です。
一般的には、ベトナム語・中国語(簡体字)・インドネシア語・英語の4言語を軸に整備している現場が多く見られます。
主要な対応言語の目安
| 言語 | 主な対象国籍 | 優先度の目安 |
|---|---|---|
| ベトナム語 | ベトナム | 最優先(建設現場で最多) |
| 中国語(簡体字) | 中国 | 優先 |
| インドネシア語 | インドネシア | 優先(特定技能で増加中) |
| 英語 | 共通語として | 基本(母語が異なる作業員間の橋渡し) |
この表はあくまで一般的な目安であり、実際の現場では受け入れている技能実習生・特定技能外国人の国籍構成を確認したうえで対応言語を決めることが大切です。
JIS規格に基づく色分けとピクトグラムの基本
多言語標識を作るうえで文字だけに頼るのではなく、色とピクトグラム(絵記号)を組み合わせることが効果的です。
JIS規格に基づく安全標識では、色によって伝える情報の種類が明確に区別されています。
- 赤色:禁止・防火・危険を示す
- 黄色と黒の組み合わせ:注意を促す
- 青色:特定の行動を指示する
- 緑色:安全状態や避難場所を示す
この色分けのルールは世界共通のISO規格に準じているため、日本語が読めない作業員でも直感的に危険の種類を把握できます。
ピクトグラムを併用するメリット
文字による説明を最小限にし、ピクトグラムを中心に構成することで、翻訳の手間や誤訳のリスクを減らせます。
特にヘルメット着用・墜落注意・立入禁止といった頻出項目は、ピクトグラムだけで意味が伝わるようにデザインされた既製品も多く販売されています。
多言語標識の作り方・導入ステップ
実際に多言語安全標識を導入する際は、次のような手順で進めると抜け漏れを防げます。
- 現場で働く外国人労働者の国籍・使用言語を作業員名簿で確認する
- 危険箇所・注意喚起が必要な場所を洗い出す
- JIS規格の色分けとピクトグラムを基本にした標識をベースに選定する
- 必要な言語の翻訳を追加し、既製品または特注で作成する
- 朝礼やKY活動(危険予知活動)で標識の意味を口頭でも説明し、定着を図る
既製品の多言語標識シールやパネルを活用すれば、翻訳の正確性を確保しながら短期間で現場に導入できます。
よくある質問
Q. 英語表記だけでは不十分ですか?
英語を理解できない作業員も多いため、英語のみでは情報が十分に伝わらないケースがあります。
現場の国籍構成を確認し、ベトナム語や中国語など実際に使用されている言語を優先して整備することをおすすめします。
Q. 多言語標識はどこで作成・購入できますか?
安全標識専門メーカーや現場用品の通販サイトで、多言語対応の既製品を購入できます。
独自の文言が必要な場合は、印刷会社やオリジナル標識の制作サービスに依頼して特注することも可能です。
Q. ピクトグラムだけで標識の義務は満たせますか?
労働安全衛生法上求められる掲示事項によっては、日本語表記が必須となる場合があります。
ピクトグラムはあくまで理解を助ける補助として活用し、必要な日本語表記と併用することが基本です。

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